精神障害<人格障害は原則認定の対象にならない
 
 
◆ 人格障害は、原則として認定の対象にならないについて
 
厚生労働省の「みんなのメンタルヘルス」によりますと、アメリカ精神学会の診断基準に従い、人格(パーソナル)障害は3つに分類しています。
 
A群 (奇妙で風変わりなタイプ)
妄想性人格障害
広範な不信感や猜疑心が特徴
統合失調症質人格障害
非社交的で他者への関心が乏しいことが特徴
統合失調症型人格障害(注)
会話が風変わりで感情の幅が狭く、しばしば適切さを欠くことが特徴
 
B群 (感情的で移り気なタイプ
境界性人格障害
感情や対人関係の不安定さ、衝動行為が特徴
自己愛性人格障害(注)
傲慢・尊大な態度を見せつけ自己評価に強くこだわるのが特徴
反社会性人格障害
反社会的で行動的、向こうずみの行動が特徴
演技性人格障害
他者の注目を集める派手な外見や演技的行動が特徴
 
C群 (不安で内向的であることが特徴)
依存性人格障害
他者への過度の依存、孤独に耐えられないことが特徴
強迫性人格障害
融通性がなく、一定の秩序を保つことへの固執(こだわり)が特徴
回避性(不安性)人格障害
自己にまつわる不安や緊張が生じやすいことが特徴
 (注)はICD-10にないもの。
 
◆ 原則対象とならない理由
 
厚生労働省の「みんなのメンタルヘルス」に次のような記載があります。
「最近の研究からも、この障害は、治療によって徐々に改善することが期待できる精神疾患です。」としています。厚生労働省は、人格障害は治療することによって徐々に改善することが期待できる精神疾患として捉え、治る疾患であるなら障害年金の対象としていないようです。神経症につきましても、自己治癒があるとして原則認定の対象としていません。
 
◆「例外のない原則はない」のが原則です。神経症については、精神病態を示していれば、認定の対象としています。
人格障害も「原則として」としていますので、神経症同様で精神病態を発症していれば障害年金の認定の対象にないます。障害認定基準の表現は現場を混乱させているだけです。
 
「みんなのメンタルヘルス」(厚生労働省)では、次のような記載もあります。
「人格障害には、他の精神疾患を引き起こす性質があります。人格障害と合併したほかの精神疾患が前面に出ることが多いので、人格障害は背後から悪影響を及ぼす黒幕のような病気ということができます。」
人格障害と診断されているが、実際は統合失調症や躁うつ病等併発しているケースも多いということになります。これは神経症と同じく、「その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。」と同様に扱ってもよいというべきです。この場合は、主治医に診断書の備考欄に併発している精神病態を詳しく記入していただくようお願いしましょう。単に「精神病態を示している」だけでは人格障害として扱われ、認定の対象外とされてしまいます。
統合失調症又は気分(感情)障害の病態を示していいるのなら、統合失調症又は気分(感情)障害の診断名にしていただけるよう主治医にお願いしてみましょう。どうしても主治医が診断名を変えていただけないく、併発している症状も記載していただけないなら、その診断書では障害年金の受給はほぼ無理です。審査請求・再審査請求もありますが、容認されるのはかなり特異なケースです。障害年金請求はできるだけ一発勝負で臨む姿勢で取り組んだ方が良いです。この場合には、症状をよく理解し診断書にも統合失調症又は気分(感情)障害を記載していただける医師を探した方が良いと思います。精神保健サポート団体等に病院を紹介できるか相談してみるのも一法と思います。