悪性新生物(癌)
 
障害認定基準
 
1、認定基準
 
1級
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号(こちらを参照)と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の様の弁ずることを不能ならしめる程度のもの。
 
2級
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号(こちらを参照)と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限加えることを必要とする程度のもの。
 
 3級
身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの。
 
 悪性新生物による障害の程度は、組織所見とその悪性度、一般検査及び特殊検査、画像検査等の検査成績、移転の有無、病状の経過と治療効果等を参考にして、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとし、、当該疾病の認定の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものを3級に該当するものと認定する。
 
 
 
 
 
2、認定要領
 
(1) 悪性新生物は、全身のほとんどの臓器に発生するため、現れる病状は様々であり、それによる障害も様々である。
 
(2) 悪性新生物の検査には、一般検査の他に、組織診断検査、腫瘍マーカー検査、超音波検査、X線CT検査、MRI検査、血液造影検査、内視鏡検査等がある。
 
(3) 悪性新生物による障害は、次のように区分する。
 ア 悪性新生物そのもの(原発巣、移転巣を含む。)によって乗じる局所の障害
 イ 悪性新生物そのもの(原発巣、移転巣を含む。)による全身の衰弱又は機能の障害
 ウ 悪性新生物に対する治療の効果として起こる全身衰弱又は機能の障害
 
(4) 悪性新生物による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりである。
  一般状態区分表
 区分  一  般  状  態
 ア
 無症状で社会生活ができ、制限を受けることなく、発病前と同程度にふるまえ
 るもの
 イ
 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできる
 もの  例えば、軽い家事、事務など
 ウ
 歩行や身のまわりのこことはできるが、時には少し介助が必要なこともあり、
 軽労働は出来ないが、日中の50%以上は起居しているもの
 エ
 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%
 以上は就床しており、自分では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
 オ
 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動
 の範囲がおおむねベット周辺に限られるもの
 
(5) 悪性新生物による障害の程度は、基本的には認定基準に掲げられている障害の状態
 
を考慮するものであるが、各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。
 
 障害の程度 障 害 の 状 態
  1 級 著しい衰弱又は障害のため、一般状態区分表のに該当するもの
  2 級
 衰弱又は障害のため、一般状態区分表の又はに該当するもの
  3 級
 著しい全身倦怠のため、一般状態区分表の又はに該当するもの
 
(6) 悪性新生物そのものによるか又は悪性新生物に対する治療の結果として起こる障害の程度、本章各節の認定容量により認定する。
 
(7) 悪性新生物による障害の程度の認定例は、(5)に示したとおりであるが、全身衰弱と機能障害とを区別して考えることは、悪性新生物という疾患の本章から、本来不自然な
ことが多く、認定に当たっては組織所見とその悪性度、一般検査及び特殊検査、画像診断等の検査成績、移転の有無、病状の経過と治療効果等を参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定する。
 
(7) 移転性悪性新生物は、原発とされるものと組織上一致するか否か、移転であることを確認できたものは、相当因果関係があるものと認められる。
 
 
 
 診 断 書
 
 
 がんによる外部障害と全身衰弱に対応する診断書。
 1,外部障害が無く、
  全身衰弱が主な症状である場合
  その他の障害の診断書
 2,  外部障害が主であり、
  全身衰弱は目立たない場合
  外部障害に対応する診断書
 3,  外部障害もあり、
  全身衰弱もある場合
  その他の障害用診断書と
   外部障害にに対応する診断書
 
 
 一般的には、「血液・造血器その他の障害用」(様式第120号の7)を使用します。
がん、食道がん、乳がん、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、膀胱がん、悪性リンパがん等
 
 肝臓がん、腎臓がんには、「腎疾患・肝疾患の障害用」(様式第120号の6ー(2))
を使用します。
 
 肺がんには、「呼吸器疾患ぼ障害用」(様式第120号の5)を使用します。
 
 舌がん、咽頭がんには、「聴覚・鼻腔機能・平衡機能・そしゃく・嚥下機能・音声又は言語機能の障害用」(様式第120号の2)を使用します。
 
 複数の臓器、部位にがんが生じている場合は、併合認定もできますので複数の診断書を使用します。どの診断書を使用するか間違えますとその障害については日本年金機構は審査してくれません。主治医と 相談の上症状と合った診断書をします。
 
 診断書「⑪「健康時の体重」と「現在の体重」の欄は必ず記載して頂きましょう。
衰弱などを判断する項目の一つで、どの程度体重が減少しているかが明確に分かる項目になります。
 
 診断書「⑫一般状態区分表」「⑮その他の障害」については必ず記載が必要です。
 
  診断書「⑮その他の障害」の自覚症状、他覚所見の欄にには、現状の症状をできるだけ詳細に記載していただきます。
 
  移転性悪性新生物の取扱い
原発とされる組織上一致するが、転移であることを確認できたものについては、相当因果関係があると認められます。
移転が認められる場合は、移転している臓器、部位を「その他の検査成績の項目」にすべて記載していただきます。