脳脊髄液減少症
 
脳脊髄液減少症とは、頭部への強い衝撃(交通事故や転倒)などで脳や髄液を覆う硬膜
に穴が開き、脳脊髄液(髄液)が持続的ないし断続的に漏出することによって、脳脊髄液が減少し、頭痛、頚部痛、めまい、耳鳴り、視機能障害、倦怠・易疲労感などを引き起こすと考えられている疾患です。頭痛、めまいなどの症状は、座位、起立位の状態で強く
現れ、臥位で軽減します。
 
 診断書
脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症)の障害状態について診断書(肢体の障害用 様式第120号の3号)を作成する際には、診断書㉑「その他の精神・身体の障害の状態」欄に日中(起床から就床まで)の臥位(臥床)(横になること)時間を記載していただくよう
主治医先生にお願いします。
 
 【 記載例 】
 
日中の 〇時間 臥位を取っている状況である。
 
 
 
                           (事務連絡)
                     厚生労働省年金局事業管理課長通知
 
 
 (解説)
 
これまでは、「脳脊髄液減少症(または脳脊髄液漏出症)」の病名で診断を受けた日を
初診日とされてきました。傷病の原因又は誘因として交通事故の事象の診断時に、「脳
脊髄液減少症(または脳脊髄液漏出症)」名が付かずに、当該診断名が付くまでに時間
がかかった事例が多くありました。交通事故等後、時間が経過し、そのため異常が感じ
て受診し、何年も経過してから「脳脊髄液減少症(または脳脊髄液漏出症)」と診断され、障害年金請求上不利になることが多かったです。例えば、交通事故当時には厚生年金保険被保険者であったが、その後体調が悪く会社を退社して国民年金の被保険者とな
り、「脳脊髄液減少症(または脳脊髄液漏出症)」と診断された場合には、障害基礎年金しか受け取れません。障害厚生年金なら障害基礎年金も受け取れ、加給年金額も加算されます。また、障害認定日も違ってきます。それに伴って障害年金の請求時期も遅れます。
 
1 こうした観点から、「脳脊髄液減少症(または脳脊髄液漏出症)」については、請求
者から提出された診断書、受診状況等証明書、病歴・就労状況等申立書、交通事故証明書、第三者行為事故状況届等の提出(以下「提出書類」という。)の審査等を通じて、請求者が申し立てたた初診日(以下「申立初診日」という。)における診療と脳脊髄液減少症(または脳脊髄液漏出症)との間の関連性の有無を判断し、申立初診日における診療が脳脊髄液減少症(または脳脊髄液漏出症)に係る一連の診療のうち初めての診療であると認められる場合には、申立初診日を障害年金初診日として取り扱うものとします。
 
2 たとえば交通事故など、請求者が脳脊髄液減少症(または脳脊髄液漏出症)の原因は提出書類を通じて発生年月日を証明できる事象である旨を申し立てており、かつ、①から④までのいずれにも該当する場合その他これに準じると認めれれる場合においては、申立初診日を脳脊髄液減少症(または脳脊髄液漏出症)に係る障害年金初診日として認めることが適当でない理由がなければ、原則として、申立初診日として取り扱います。
 
① 確定診断を行った医療機関が作成した診断書(確定診に基づき他の医療機関が作成した診断書を含む。)において、傷病の原因または誘因として交通事故等の事象が記載されているとともに、申立初診日が脳脊髄液減少症(または脳脊髄液漏出症)のため初めて医師の診療を受けた日として記載されていること。
 
② 交通事故証明書、第三者行為事故状況届、交通事故直後に受診した医療機関が作成した受診状況等証明書において交通事故日が確認できるなど、脳脊髄液減少症(または脳脊髄液漏出症)の原因となり得る事象の年月日が証明書等において確認できること
 
③ 申立初診日に係る医療機関が作成した診断書、受診状況等証明書において、申立初診日における医療機関での受診が確認できること。
 
④ 発症直後に確定診断が行われなかった理由に関する申立が行われていること。
なお、提出書類の記載等から、脳脊髄液減少症(または脳脊髄液漏出症)に関する医療機関への受診について未継続の期間が確認される場合に合っては、当該未継続期間において、脳脊髄液減少症(または脳脊髄液漏出症)に係る症状が継続している旨の申立が行われていること。
 
3 2に関して、申立初診日を脳脊髄液減少症(または脳脊髄液漏出症)に係る障年金初診日として認めることが適当ではない理由がある場合としては、例えば、提出書類の内容等から、請求者が脳脊髄液減少症(または脳脊髄液漏出症)の発症原因として申し立てた事象以外の他の事象が発症原因となった可能性が高いものと認められる場合、6ヶ月を超える期間、脳脊髄液減少症(または脳脊髄液漏出症)に関連する医療機関への受診が行われなかったことが認められる場合(申立初診日が脳脊髄液減少症(または脳脊髄液漏出症)の発症原因となり得る事象の年月日から6ヶ月を超える年月日である場合を含む 。)、申立初診日から確定診断日までの間に脳脊髄液減少症(または脳脊髄液
出症)係る症状が継続していないことから明らかに認められる場合などが考えられるが、個別事例ごとの事情に応じて、提出書類の内容等を総合的に考慮して、判断を行うものとします。
 
4 請求者が障害年金初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合については、「障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて」(平成27年9月28日年管管発0928第6号)に基づき、第三者証明、参考資料等を活用しつつ、障害年金初診日に係る審査が行われます。