併合
 

    併  合

併合は、年金法による併合と障害認定基準による併合があります。
 
併合のパターンは、20数種類ありますのでここでは基本的のものを挙げます。
「受付・点検事務の手引き」参照。
 
障害が複数ありましたら、当社会保険労務士事務所にお問い合わせください。
  
 
Ⅰ、年金法による併合
 
1、原則的な併給調整
 
①障害年金の受給権者に対して更に障害年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害年金を支給する
 
②障害年金の受給権者が、前後の障害を併合した障害の程度による障害年金の受給権を取得したときは、従前の障害年金の受給権は消滅する。
 
前発障害(2級)+後発障害(2級)= 1級障害年金
 (注)このとき併合認定後の障害等級は、併合した結果としての障害の程度により判断するため、後発年金が必ず2級から1級になるとは限りません。認定基準による併合をご覧ください。
 併合後の等級が決定された場合、前発障害は失権となります。
 
 
2、併合改定
 
前発障害で2級の受給権を有するものが、後発障害3級(障害基礎年金不該当)の場合、前発によるのものと後発によるものを併合した程度が前発障害に係る障害程度よりも上位等級に該当する場合は、前発と後発障害を併合した程度に前発障害の額が改定されます。
 
前発による(2級)+後発による(3級又は障害基礎年金不該当)

1級障害年金     
 
 
 
3、初めて2
 
・二つ以上の傷病による障害を併合して、初めて2級以上の障害となる場合です。
・初診日が前にある前発障害は、2級以上になったことがない障害であり、資格要件、納付要件等は問われません。
前発障害3級相当※1+後発障害3級相当※22級障害年金
 
※1併合判定参考表5号~7号               
※2併合判定参考表5号~7号 
ただし、7号+7号は除く。
 
 
 
Ⅱ、障害認定基準による併合 
 
1、併合(加重)認定
 
①2つの障害が併存する場合
個々の障害について、併合判定参考表における当該番号を求めた後、当該番号に基づき併合(加重)認定表による併合番号を求め、障害の程度を認定します。
 
②3つ以上の障害が併存する場合
併合判定参考表の「障害の状態」に該当する障害を対象とし、次により認定します。
 
(1) 併合参考表から各障害について番号を求める。
(2) (1)により求めた番号の最下位及びその直近位について、併合(加重)認定表により、併合番号を求め、以下順次、その求めた併合番号と残りのうち最下位のものとの組合せにより、最終の併合番号を求め認定します
 
2、総合認定
 
内科的疾患の併存している場合及び障害認定基準認定要領において特に定めている場合は、総合認定になります
 
総合認定の併合の仕方は、障害認定基準においても、一切、併合の仕方についの説明はありません。日本年金機構においてブラックボックスの中て認定をしております。
 
正しい症状の障害等級でない併合認定の場合には不服申立てをしましょう。
 
 
障害認定基準認定要領において特に定めている場合とは、次のものです。
 
2つ以上の内科的疾患(認定基準第3第1章10節~18節)がある場合
第10節   呼吸器疾患
第11節   心疾患
第12節 腎疾患
第13節 肝疾患
第14節 血液・造血器疾患
第15節 代謝疾患
第16節 悪性新生物
第17節 高血圧症
第18節 その他の疾患
(注)第16節と第18節についてはすべてが内科的とはいえません。
 
②精神障害(認定基準第3第1章「第8節」2A~E)が2つ以上ある場合
 
A 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害
B 症状性を含む気質性精神障害
C てんかん
D 知的障害
E 発達障害   
 
 
 
 
 
 
 
3、差引認定
 
(1)障害認定の対象とならない障害(以下「前発障害」という。)と同一部位に新たな障害(以下「後発障害」という。」)こが加わった場合は、現在の障害の程度から前発障害の障害の程度を差し引て認定します。
 
(2)同一部位とは、障害のある箇所が同一であるもの(上肢又は下肢については、1側の上肢又は下肢)のほか、その箇所が同一でなくても眼又は耳のような相対性器官については、両側の器官をもって同一部位とします。
 
(3)初めて2級(1級)による年金に該当する場合には、適用しません。
 
前発障害(2級)+後発障害(2級)=1級になるところ、
 
この差引認定によると、現在の障害状態から前発障害状態の程度を差し引いて認定しますと、
前発障害(2級)+後発障害(2級)=3級になってしまいます。
 
厚生労働省が独自に定めたもの(法令ではない)障害認定基準であっても、正当性がある内容であるのであれば、障害認定基準に従うところですが、差認定につきましては、当然1級になるところ、2級どころか、3級にしかならないです。
これは本来併合すれば、上位の等級に該当し年金額が増加するところ、逆に、等級が下がり年金額が減額になるという不当に受給権者の権利を侵害するものであると考えます
  
引認定は、従来、再審査請求である社会保険審査会では請求者の容認を認めていましたが、最近は棄却となるケースが多くなっています。
過去には、差引認定には妥当性は認められない裁決をしていました。社会保険審査会は、公正な判断の下で裁決をすべきです。
2016年12月8日の国会でも「差引認定」の不適切性が取り上げられました